じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 黒正巌先生像の頭上に輝く月齢18.3の月。11月18日(金)の朝はよく晴れ、西の空に月齢18.3の月が輝いていた。前日17日の18時28分に赤緯が最北になったばかりで、方位は北に偏っており、黒正巌先生の横顔の真西の方向に輝いていた。
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2016年11月18日(金)



【思ったこと】
161118(金)関係反応についての講義メモ(12)見本合わせは条件性弁別か?(2)

 昨日の日記で、見本合わせ課題を条件性同時弁別であると見なすのは誤りであるという、以下の論文に言及した。

佐藤方哉 (2007). 見本合わせは条件性弁別であろうか?−概念分析−. 帝京大学心理学紀要, 11, 1-8.

 佐藤氏は、まず、幼児にネコの絵とイヌの絵を見せて反応を求めることに関して3種類の課題を例示している。

 ここで改めて、条件性弁別とは何か、いくつかの文献を調べてみよう。

 「条件性弁別学習(Conditional Discrimination Learning)とは?」で検索してみると、まずWblioの該当項目では
通常の(継時または同時)弁別学習において正負両刺激のうちの正刺激を選ぶための唯一の情報は、それ以前の試行で強化されたこともしくは強化されなかったという経験である。それに対して、弁別性弁別学習では正負両刺激以外の第3の刺激(ないし刺激属性)が選択のための情報となる。条件性弁別学習は“Aという刺激のもとでは”“R1 という反応をする”が、“Bという刺激のもとでは”“R2 という反応をする”という学習である。たとえば、球と立方体が被験体に提示され、装置が明るく照明されている時には球を選ぶ一方、暗く照明されている時には立方体を選べば、常に強化が与えられる。
と定義されていた。元の出典は「催奇形性所見用語集」となっていて、催奇性と条件性弁別とどういう関係があるのか不思議に思ってしまうが、元サイトの中に用語集作成の経緯が記されており、その中の「出生児の成長・発達(行動・学習等)」というPDFファイルに上掲の定義が記されていることが分かった。


 「催奇形性所見用語集」で挙げられていた球と立方体の例は、「物体を選ぶ(その物体を指さす、手に取る)」という行動において、「球か立方体」という刺激と「照明が明るいか暗いか」という刺激が組み合わされて弁別刺激になっているという例であり、中島(1995)の「見本合わせ手続きとその変法」の分類に従えば、「見本刺激と比較刺激が特定の対応関係にあるとき所定の反応をすれば正答、それ以外のときは別の反応をすれば正答」という「Yes/No型見本合わせ」課題であると見なすことができる。

 もっとも、上記の例がほんとうに条件性弁別であるのかについてはいくつか疑問が生じてくる。

 まずは刺激の組合せが少ないことからみて、単に、「明るい球」または「暗い立方体」を選ぶというだけの学習であったという可能性がある。つまり、「球か立方体」とか「照明が明るいか暗いか」というのは別個の独立した刺激次元ではなく、単に「明るい球」、「暗い球」、「明るい立方体」、「暗い立方体」という4個の刺激があってそのうちの2種類を選んでいるだけという可能性である。

 もう1つの疑問は、冒頭の「見本合わせは条件性弁別であろうか?」に関連した疑問であり、「球を選ぶ」とか「立方体を選ぶ」というのは、オペランダムであって弁別刺激ではないという可能性である。

 さらに、少なくとも人間の場合、照明が明るいか暗いかということは、「明るい」、「暗い」という言語反応としてタクトできる。確かに、「明るい」、「暗い」と叫ぶ代わりに、「明るい時は右手、暗いときは左手を挙げる」でもよいし、「明るい時は球、暗いときは立方体を選ぶ」でも課題の本質は変わらないように見える。

 次回に続く。